私的年金制度の中心となる確定拠出年金制度
(図1)年金制度の体系

厚生労働省 社会保障審議会企業年金・個人年金部会資料より
上の図は国の法律に基づいた年金制度の体系を表しています。
黄色の部分(国民年金・厚生年金)が国民の義務で誰もが加入する公的年金制度。黄色以外が国の法律に基づいた私的年金制度となります。私的年金制度の中で企業が拠出する企業年金制度としては『確定給付(DB)年金』と『確定拠出(DC)年金』の2つの年金があります。
まず長きにわたり企業年金の中心となってきた『確定給付(DB)年金』ですが、実施事業主数は2011年をピークに低下傾向にあります。世界的に長期化する利回りの低下により、従業員に確定した給付の約束(退職給付債務)を履行ことが難しくなっているからと言えます。
もう一方の『確定拠出(DC)年金』は企業型、個人型ともに増加傾向にあります。
国の法律に基づいた私的年金制度としては公的年金を補完する制度の今や中心となる制度と言えます。
確定拠出年金の特徴
これまで公的年金の補完として主流だった既存の企業年金(厚生年金基金や廃止前の適格退職年金)は個人ごとの資産の持ち分が明確ではない全体勘定でした。一方で確定拠出年金は個人ごとの資産が明確に区分された個人勘定で、加入者がいつでも自らの資産を把握することが可能な仕組みです。
また自らの年金資産の運用方法(商品の選択)を加入者が決めることができるというメリットがあります。一方で年金資産の投資リスクは加入者が負わなければいけません。
そこで法律では加入者が自己責任で運用(商品の選択)ができるように、企業に投資教育を義務付けています。(企業型の場合)
2018年5月より投資教育については継続教育も努力義務(以前は配慮義務)となりました。
企業が従業員の資産形成を確定拠出年金の制度と投資教育を通じて応援する時代にはいったいえます。
確定拠出年金による、企業の福利厚生の充実
確定拠出年金制度を『福利厚生』の視点で見た場合、どのような位置づけなのか、考えてみたいと思います。
そもそも企業の福利厚生の本質とは?
【福利厚生の本質とは】
福利厚生とは企業の生産性の向上に向けて、優れた人材の確保・育成・定着や
- 従業員の生涯にわたる生活の安定(ライフプラン支援)
- 心身の健康の確保(健康経営)
- 職場の一体感の醸成(エンゲージメント)による
能力の最大発揮を図ることを目的に展開する施策
日本経団連『課題解決型福利厚生の実現に向けて』を参考に編集
と上記のように定義されています。この中では確定拠出年金制度の福利厚生としての役割は ①従業員の生涯にわたる生活の安定(=ライフプラン支援)だといえます。
確定拠出年金制度は上記【福利厚生の本質】の中でも
【従業員の生涯にわたる生活の安定(ライフプラン支援)】を、国の優遇税制を活用しながら会社がサポートできる仕組みといえます。
そして会社が従業員個人の人生を支援するという姿勢(ライフプラン支援)。
その姿勢が従業員の会社へのロイヤリティやエンゲージメント(愛着心や思いいれ)を醸成していきます。企業年金ひとつとっても、会社が従業員に対して、どんな思いで導入するのか?メッセージが大切な時代となりました。
それが、ひいては企業の競争力を高める(生産性を向上させる)ことに繋がるのでしょう。
また福利厚生の、これからのトレンドとして3つのキーワードがあります。
福利厚生3つのトレンド
- 自立(independence)
- 個別( individuality )
- 持続可能性(sustainability)
の3つです。
確定拠出年金制度は実はこの3つのトレンドにのった仕組みです。
①の【自立】については そもそも確定拠出年金制度は国の法律に基づいた【自助】を支援する制度です。
②の【個別】についても 同じく確定拠出年金制度は加入者が自己責任で運用(商品を選択)する仕組みですし、個人ごとの資産が明確に区分された個別性の高い制度です。
③の【持続可能性】についても 企業が拠出した時点で個人の資産となり、企業として退職給付債務が発生しないという大きなメリットがある持続可能性の高い制度です。
企業にとって喫緊の課題である『生産性の向上』その施策としての『福利厚生の充実』は当然そのためのコストとマンパワーがかかります。当協会では、上記3つのトレンドにのった確定拠出年金制度を活用し、【自立・自助】を支援し【個別性】【持続可能性】が高い福利厚生の構築をサポートできる専門家(DCコンサルタント®)をご紹介しております。
今の時代、福利厚生にそれほどコストをかけられないし、マンパワーもさけない、そんな中小企業様でも、DCコンサルタント®の高い専門性と実務経験により、低コストと手間いらずで、DCコンサルタント®が確定拠出年金の制度導入からアフターフォローまで一貫・継続してサポートいたします。