確定拠出年金とは?

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公的年金は2階建て

確定拠出年金とは、公的年金に上乗せする年金制度です。
日本の公的年金制度は2階建ての構造になっています。(図1)

1階部分は、20歳以上60歳までの全国民が加入する国民年金のことを言います。
加入する期間に応じて、将来受け取れる金額が決まります。

2階部分は、民間の会社員の方や、公務員が加入する厚生年金保険です。
毎月のお給料の金額に応じて負担する保険料は異なり、将来の受取額も変わります。

(図1)年金制度の体系

厚生労働省 社会保障審議会企業年金・個人年金部会資料より

高齢化・少子化により1・2階部分だけだと不足に?

平成30年(2018年)現在、男性が81.25歳、女性は87.32歳。
今後、男女とも平均寿命は大きく延び、令和47(2065)年には、男性が84.95歳、女性が91.35歳となり、女性の平均寿命は90歳を超えると見込まれています。(図2)

(図2)平均寿命の推移と将来推計

内閣府 令和2年版 高齢社会白書より

寿命は延び、高齢者は増える一方、少子化・晩婚化等により高齢世代に対する現役世代(生産年齢人口)の割合は年々少なくなってきています。(図3)

(図3)高齢化の推移と将来推計

内閣府 令和2年版 高齢社会白書より

「人生100年時代」を迎えようとする今、社会保障制度の“給付と負担の見直し”は急務となってきており、少子高齢化という社会構造上、公的年金の給付水準が、今後実質減額の方向で調整されていくのは避けられない状況にあります。

確定拠出年金は3階部分

このような状況の中、米国で1981年から実施されている「401kプラン」をモデルとした「確定拠出年金法」が2001年6月29日に成立し、同年10月から施行されました。

確定拠出年金は、拠出された掛け金とその運用益との合計額をもとに、将来の受給額が決定する年金制度です。

掛け金を事業主(会社)が拠出する「企業型」と、加入者自身が拠出する「個人型」(iDeCo)があります。

確定給付(DB)と確定拠出(DC)の違いは?

  • 確定給付(DB)型企業年金は、企業などが拠出した掛け金を金融機関(生命保険会社・信託銀行等)が運用します。そして将来、あらかじめ定められた給付(年金)を受けられるのが特徴です。
    つまり、将来受け取れる「給付」が確定しているのが、確定給付型企業年金です。
    英語ではDB(Defined Benefit)と言います。
  • 確定拠出(DC)年金は、企業や加入者自身が拠出した掛け金を、加入者自身が運用商品のラインナップ(元本が保証されている預金・保険や、元本が保証されていない投資信託など)の中から選択して運用します。将来受け取れる給付は、運用成果によって異なります。

つまり、将来の給付は運用成果次第で、毎月の「拠出」(掛け金額)が確定しているのが確定拠出年金です。英語ではDC(Defined Contribution)と言います。

長きにわたり企業年金の中心となってきた『確定給付(DB)年金』ですが、実施事業主数は2011年をピークに低下傾向にあります。
世界的に長期化する利回りの低下により、従業員に 確定した給付の約束
(退職給付債務)を履行ことが難しくなっているからと言えます。

もう一方の『確定拠出(DC)年金』は企業型、個人型ともに増加傾向にあります。
国の法律に基づいた私的年金制度としては公的年金を補完する制度の今や中心となる制度と言えます。

確定拠出年金法の『目的』とは?

確定拠出年金法の第1条に法律の目的が記載されています。
【国民の高齢期における所得の確保】に係る【自主的な努力を支援し】もって公的年金の給付と相まって【国民の生活の安定と福祉の向上】に寄与することとあります。

(目的)
第一条
この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、(中略)確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

出典:確定拠出年金法(平成十三年六月二十九日法律第八十八号)

自主的な努力に対する国の支援とは?

自主的な努力に対して、国も支援してくれています。
それは「税制の優遇」です。(図4)
事業主が拠出した掛け金は全額損金算入、加入者が拠出した掛け金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となり、拠出した分、税負担が軽減されます。
また、「拠出時」だけでなく、「運用時」と将来の「給付時」の3段階で税の優遇が受けられます。

(図4)確定拠出年金の税制

厚生労働省 確定拠出年金ホームページより

確定拠出年金を活用で安心の未来を

金融庁が2019年6月に公表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書(以下金融庁レポート)によると、高齢期における収入と支出の状況は、
「(現在の)高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5.5万円となっている。」とある通り、将来に向けた資産形成は、すべての世代にとっての課題と言っても過言ではありません。

また金融庁レポートに、『米国では75歳以上の高齢世帯の金融資産はここ20年ほどで3倍ほどに伸びている一方、わが国の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで推移しており・・・』とあります。

米国は日本より20年早く1981年に確定拠出年金(401kプラン)がスタートしました。
また日本とは違い、確定拠出年金の運用も株式等の投資信託を選択する比率が高く、日本の金融庁も推奨する『長期・分散・積立投資』を確定拠出年金制度により早くから活用しています。その結果が20年で金融資産3倍です。

米国より20年遅れてスタートした確定拠出年金制度、せっかくの国民の自助に対する大きな支援(税制優遇)を活用しないのは機会損失といえます。確定拠出年金制度を上手に活用し、一人ひとりが安心できる未来をつくっていきたいですね。

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